心の蓋がパカッと開くとき
自分が感情に乏しいと気付いたのはいつだったろう。
悲しみとか、怒りは感じるのだけど、心からの幸せとか、美しさとか、
溢れる感動とか味わったことがなかった。
おととしの秋、十和田湖の紅葉を見に行く機会があった。
10年ぶりぐらいか?いや紅葉の時期は初めてかもしれない。
奥入瀬渓流のせせらぎ音、そして、赤や黄色や緑の木の葉が調和して
風にそよぐ景色を見たとき、私の心の蓋がパカッと開いたのだ。
なんて美しい!!きれい!!
自然が織りなす見事なハーモニー。全身にその息吹が吹き込まれてきた。
木の葉の間から、キラキラとお日様の光が落ちて、渓流に明暗を作っていた。
水の流れは留まることなく、心地よい音色を私の耳に流し続けていた。
そう、これが感動、愛なのね、これを感じている自分がこのうえなく幸せだった。