「そんなことするなら、ママもう知らない」
「いうこと聞かないなら、そんな子いらないよ」
子育ての中で、つい口から出てしまうこうした言葉。
これが子どもの心にどんな影響を与えるか、考えたことはありますか?
私自身、子どもの頃にこんな体験をしました。
小学校1年の頃、母と「5時までに帰る」と約束をして近くに遊びに出ました。
楽しかったせいか、気づくと5時の学校のチャイムが鳴っていた。
あわてて帰ると、家の玄関に鍵がかかっていました。
え?と戸惑って庭に回っても、
すべての窓やドアが閉ざされていて、中には入れません。
「ママー、開けてー!」と叫ぶと、
「約束を守らない子はうちの子じゃないから開けないよ!」
「入れてー!」と私は泣き叫びながら窓を叩きました。
家の中で母と妹が話している姿が見えて、
余計に悲しさがこみ上げてきたんです。
見捨てられたような、拒絶されたような、
世界から弾き出されたような感覚でした。
恐怖の世界ににおとしいれられたんです!
あやまり続けて、やっと中に入れてもらえたとき、
私はさらに時間に遅れたことをこっぴどく叱られました。
その経験が強烈すぎて、それ以降
「時間に遅れること」に対する強い恐怖感と
自分はダメな子という劣等感を抱くようになりました。
「遅れたらダメだ」「遅れると怒られる」「見捨てられる」
という不安が、心の奥にしっかりと根を張ったのです。
この経験があったからこそ、自分が母親になったときは
同じことを繰り返さないと決めていました。
娘が約束の時間に遅れて帰ってきても、
鍵をかけて締め出すことはしませんでした。
帰ってきた娘にはこう伝えました。
「楽しかったのね。約束の時間過ぎちゃってるもの。
だけど約束の時間に帰ってこないと、
ママは心配でちょっと悲しくなるよ」
そして、「どうして遅くなったの?」と理由を聞いてみました。
子どもは遊びに夢中になって時間を忘れてしまうこともあります。
大人の感覚では「ルールを破った」
と見えることも、子どもにとっては
「楽しかった」「興奮した」結果だったりします。
叱る前に、「どうしてそうなったの?」を聞いてみる。
それだけで子どもは
「自分の気持ちを受け止めてもらえた」
と感じるものです。
「見捨てる脅し」は、子どもの心に深い不安を植えつけます。
「愛されなくなるかもしれない」という恐怖は、
幼い心にとっては生きる基盤を脅かされるほどのものです。
こうした経験を繰り返すと、
- 自分は条件つきでしか愛されない
- 人に合わせないと愛されない
- 本音を言ったら嫌われる
そんな思い込みを育ててしまいます。
結果的に、自分の気持ちを押し殺し、
他人の期待に合わせる大人になって
しまうことも少なくありません。
もちろん、親だって完璧ではいられません。
ついイライラして「もう知らない!」
と言いたくなる日もあります。
それ自体を責める必要はないんです。
そのあとで、一呼吸おきましょう。そして
子どもに「本当はあなたが大切なんだよ」
と伝え直すことが大切です。
たとえば、
✔︎ 「そんなことするならもう知らない」
→「どうしたいのか一緒に考えよう」
✔︎ 「いうこと聞かないならいらないよ」
→「ママはあなたが大事だよ」
✔︎ 「帰らないなら閉め出すよ」
→「心配だから帰ってきてね」
脅しではなく、安心を伝える言葉を選ぶこと。
言い過ぎたと思ったら素直に、ごめんねと子どもに
謝る勇気も必要です。
それが、子どもの「自分は大切にされている」
という感覚を育て、安心して前へ進む力になります。
その時の感情に任せて
子どもを脅して言うことを聞かせるのは簡単です。
でもそれは、恐怖心で動く子どもを育てること。
恐怖心で行動する子は、自分で考え、
前へ進むのを怖がるようになってしまいます。
そしてその恐怖感は簡単には取り除けないのです。
私たち親にできるのは、子どもに「安心」を渡すこと。
「ママはあなたを見捨てない」
「どんなときも味方だからね」というメッセージを届けること。
その積み重ねが、子どもの心の土台である安心を育てます。
子育ては毎日の小さな選択の連続です。
「脅し」ではなく「対話」を選ぶことで、
子どもは安心し、のびのびと自分を表現できるようになります。
親の言葉ひとつで、子どもの未来は変わります。
「見捨てる脅しをやめ、安心させる対話を」
それが、超AI時代を生きる子どもに育てるコツ
自律脳的子育ての大切なテーマです。